周りに白の細い螺旋、表層に緑・黄赤・濃紺の太い螺旋紋が美しいジャーマン・マーブル

19Ｃ末～20Ｃ初頭までドイツ南部で製作されたジャーマン・マーブルで、希少なアフリカ交易ビーズです。研究書History of Beadsの付表では、1870～80年頃に掲載されています。
　本品内部の芯軸近くには、束ねられた10本ほどの白い線が螺旋状に見え、表層にはクリアな、緑・赤茶・濃紺帯が螺旋状に巻かれています。上の穿孔面で螺旋は細く始まり、徐々に太い帯になり、下の面で太帯は急に絞られ終わります。緑・赤茶・青の3色帯にも青・赤茶・緑・赤茶の4色帯にも見え、くるくると回すと、3-4色の螺旋紋が終わることなく続きます。穿孔上面には、クリアな胎と赤茶、青、赤茶、緑、赤茶の細線が螺旋紋に巻かれた起点が判明します。
　クリアな胎には、小さな気泡がかなり見られ、赤茶などの色帯にもいくつか気泡は見られます。19Ｃ末～20Ｃ初頭におけるドイツ南部のガラスやビーズの製造業が、気泡を消しガラスを融解させるのに十分な高温を確保できなかったことを示唆します。
　高温での融解でなかったためか、ビー玉遊びの様に当てて使用したためか、多くのジャーマン・マーブルと同様に、胎中央にカケによる凹みが2か所ほど見られ、胎の多くに亀裂や打ちキズなどが10カ所ほど見られます。亀裂は内部に限られ、使用に支障はございません。
　ジャーマン・マーブルは、19Ｃ末～20Ｃ初頭までドイツ南部チューリンゲン州のラウシャ地区で製造されました。当時、チューリンゲンはリゾート地で、1870年代に家内工業の吹きガラス工房が50軒ほどあり、観光客が訪れたとされます。1700年代後半にドゴン・ドーナツを製造したバイエルン州から、さらに南東　約250㌔に位置し、南部ドイツにおけるビーズ制作地域の変遷を伝えます。
　1849年にグレイナーがマーブル・ガラスの製作を始めたとされます。 ジャーマン・マーブルのうち、ビー玉タイプは主にヨーロッパとアメリカの市場向けで、穴がある本品タイプは交易ビーズとして製造され、おもに西アフリカに、そしてビルマにだけ渡ったとされます。ミヤンマーで、外部分が剥脱し核部分だけが残ったビー玉タイプのマーブルに出会ったことがあります。
　本品を手でもち、クリアな胎に残された螺旋紋の、終わりのない回転美を、綺麗な元祖ビー玉に眺めていただけます。
　サイズ：高さ　約22㍉　幅22㍉　孔径　約4㍉…

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