前2500年頃のメソポタミアやインダス渓谷で出土、茶と白の希少ジャスパー・ビーズ

本品は、天然石ジャスパーの護符で、胎には、濃い茶の四角片と、やや暗い茶や半透明な薄い茶の箇所、その間に、やや茶がかった白の太い筋が入り混じり、綺麗な斑模様が見られます。形状は、表側で膨らみ、身に着ける内側で平たくされ、大きめの古代ビーズなどでも見られるように、身に着ける側が平らにされ、胎の表面は綺麗に研磨されています。
　モース硬度が7とされるジャスパーは、ラピス・ラズリーなど硬度がやや低い天然石を穿孔する錐のような道具に用いられるほどでしたので、難しい穿孔を強いられましたし、穿孔された孔を覗くと、錐のような器具を回転させたときに生じる、わずかながら凹凸の円形跡が連続して見られます。とくに、高い硬度の天然石を研磨するには、多くの作業とエネルギーが必要とされますので、本品の希少さが痛感させられます。
　入手時に、インダスや西アジアのビーズに詳しい収集者から、前2500年頃のインダス-メソポタミアで出土したジャスパー製の護符・ビ―ズと聞きました。前2500年頃のインドでは、ジャスパーやカーネリアンなど高い硬度の天然石に穿孔する技術革新が継続的に進められ、インド制作の天然石ビーズは、約3800㌔離れたメソポタミアや遠方のアナトリアで出土・発見されます。
　前2600-前1600年には、インドでモヘンジョダロやハラッパの職人は、大量のビーズを製造し、多くがメソポタミアなどに搬出されました。しかし、前1600年ころにインダス渓谷文明が崩壊すると、次の千年間、インド・ビーズの遠距離交易は減少し、前2Cにローマ帝国とインドの交易が再開するまで、ローカルな需要にのみ応えました。
　こうした歴史的経緯と、本品の研磨や穿孔の状態から、本品が前2500年ころにインダス・メソポタミアで制作されたビーズと見なすことにも納得できます。
　ジャスパーは、「斑点のある石」を意味する古代フランス語に由来するとされ、茶、緑、白、赤、黄などの色の鉱石があります。石言葉は、状況を判断する聡明さ、感情などの適切な自制や克己を意味し、病を癒し落ち着きをもたらすと言われます。前2500年から約4500年を経た、十分に研磨された天然石ジャスパーの本品は、今日、強力なパワー・ストーンとして活用していただけそうです。
サイズ：高さ　約　約16㍉弱　幅　約13㍉略　孔径　約2.5㍉　厚さ　約　7.5㍉

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